旬を過ぎてしまった一回目に対して今回はちょっとだいぶ早い目ですが狂犬病予防接種です
日本は島国という立地のよさと狂犬病予防法による狂犬病予防接種の義務化によって現在は清浄国ですが、
近隣の国ではまだまだ根強い恐ろしい伝染病です。
日本では昭和32年以降国内での発生は確認されていませんが、
平成11年に韓国で15年ぶりに死者が出たりしたため近年再び狂犬病のリスクが叫ばれています。
実際ここ数年獣医師の間では今年こそ出るかとヒヤヒヤしているような状態になっています
(感染犬の矢面に立つのは我々ですから)
ここで狂犬病予防法を簡単におさらいです
実際には膨大な決め事があるのですが飼い主さんに関係があるのはこの辺りではないでしょうか

犬の所有者は、犬を取得した日(生後90日以内の犬を取得した場合にあっては、生後90を経過した日)から
30日以内に、厚生省令の定めるところにより、その犬の所在地を管轄する都道府県知事に市町村長
(都の区の存する区域にあっては区長とする。以下同じ。)を経て犬の登録を申請しなければならない。

犬の所有者は、前項の鑑札をその犬に着けておかなければならない

犬の所有者(所有者以外の者が管理する場合には、その者。以下同じ。)は、その犬について、厚生省令の定めるところにより、
狂犬病の予防注射を毎年一回受けさせなければならない

犬の所有者は、前項の注射済票をその犬に着けておかなければならない

こんなところでしょうかそんなにびっくりするようなことは書いていませんね
これが実際にかかった疑いをもたれてしまうと・・・
予防員は、第4条に規定する登録を受けず、若しくは鑑札を着けず、又は第5条に規定する予防注射を受けず、
若しくは注射済票を着けていない犬があると認めたときは、これを抑留しなければならない。
予防員は前項の抑留を行うため、あらかじめ、都道府県知事が指定した捕獲人を使用して、その犬を捕獲することができる。

犬を診断した獣医師又はその所有者は、直ちに、その犬を隔離しなければならない。
但し、人命に危険があって緊急やむをえないときは、殺すことをさまたげない

予防員は、政令の定めるところにより、病性鑑定のため必要があるときは、都道府県知事の許可を受けて、犬の死体を解剖し、
又は解剖のため狂犬病にかかった犬を殺すことができる

公衆衛生又は治安維持の職務にたずさわる公務員及び獣医師は、狂犬病予防のため、予防員から協力を求められたときは、これを拒んではならない

かなり物騒なお話になってきますね

平成11年度の統計によると大阪府の飼い犬登録の頭数は233910頭なのに対し
予防注射を実施した頭数は165488頭で70.7%にあたり
飼い犬登録していない固体の数を考えると接種率は50%を切るのではないかと思われます。
半数を下回るような状態では集団免疫(周囲が予防していれば予防していない固体も感染のリスクが下がること)は
到底期待できませんし、また登録頭数より実際の接種頭数が減っていることから狂犬病の予防注射をやめてしまっている人が多いのがわかります。

こんな状態で狂犬病が入ってきたらどうなるでしょう?

狂犬病は(犬)と名前についていますが実は犬だけの病気ではありません
哺乳類なら殆どの動物(もちろん人も)がかかり、かつ致死率の高い(もちろん人も例外ではなく毎年世界で3.5〜5万人が亡くなっています)
非常に恐ろしい病気です。
この恐ろしい伝染病最近近隣の諸国で再び猛威を振るうようになってきたことと、
ペットブームで狂犬病発生国からの子犬の輸入が増えてきたため農水省は今年より、狂犬病発生国からの子犬の輸入規制の強化をすることになっています。
(早くても10か月齢にならないと日本には入ってきません)
それまでの間も業者に自粛を求めていますがほかの野生動物などからも伝染しますのでまだまだ対策は不十分ではないかと思います。
(ちなみにアメリカでは猫にも狂犬病ワクチンの接種を行っています。日本では狂犬病という名前がネックになりそうですが)
世の中ペット好きの人たちだけではありません
そういった人も含め、人とペットが安心して共存できるように狂犬病の予防きちんとしていきましょう。
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