女の子の避妊手術について
問い合わせが結構ありますのでここでまとめておきたいと思います
時々内容更新しようかなと思っております
まずは時期について
特にネコは発情期に入るとかなりうるさく鳴くこともあり
発情をきっかけに避妊手術に踏み切ろうとする方が結構いらっしゃいますが、
これはお勧めできません。
もちろん技術的には可能なのですが、通常の避妊手術に比べ発情時の子宮は血行も盛んになっており
子宮自体もやわらかいため、より気を遣う手術になります。それ以上に問題なのは
全ての子がというわけではないですが非常に神経質な性格に変ってしまうことがあります。
余程困っていないのであれば発情終了後しばらくしてからの方がお勧めです。
(喉もと過ぎれば熱さを忘れるではないですがついつい先延ばしになって次の発情来てしまう方多いですが・・・)
イヌの場合も同様で避妊手術によるホルモンの変動が一番少なくて済む発情の前後2ヶ月を除いた2ヶ月の間がいいといわれています
次に避妊手術そのものの意味合いについて
メリット
当院では卵巣子宮全摘出術を行っています
子宮卵巣にまつわる疾患(腫瘍・子宮内膜炎・子宮蓄膿)を未然に予防することが出来ます。
特に大きい子や体力がある子の場合、蓄膿の発見が遅れることが結構あり、
その場合手術を実施してもその後腎不全を起こして亡くなるリスクが高いです。
早期(6ヶ月以降その後いつまでかは諸説ある)の避妊手術で乳腺腫瘍の発生率の低下(ならないわけではないですが)
免疫の波がなくなる(女の子は通常男の子より免疫レベルが高いのですが妊娠するために発情期には免疫レベルの低下があるといわれています)
この波によって発情中に皮膚の問題や膀胱炎を頻発する子がいますので、そういった免疫低による疾病を防ぐことが出来る。
デメリット
全身麻酔をかけなくては実施不可能(麻酔をかけるというリスクがある。ただし子宮疾患に陥ってしまってからよりは健康状態の時の方が低リスク)
局麻で可能なホルモン剤インプラントの手術もあるのですがこれについては、今は生ませたくないけれど来年以降に生ませたいという特殊な場合しかメリットはないです
太りやすくなるーこれは体重の管理(食事量の管理)がきっちりできる飼い主さんならそれほど問題になりません。
女の子の場合まれに女性ホルモンレベルの低下によって尿漏れが起きることがありこれは予測不能です。
括約筋をしまりやすくする薬の内服でコントロールすることになります。
それから毛質の変化があることがあります。特にダックスは多いかと思います。
以上のようなデメリットがあります他にも気になることは無くなはいのですが・・・
メリットはデメリットを上回ると判断しているので
当院では基本的に子供を生ませるつもりが無い場合避妊手術をお勧めしています
その他の動物の避妊手術について
ウサギ
ウサギの避妊手術に関してはかなり賛否が分かれると思います
子宮疾患のリスクは犬猫同様にあり、子宮腺癌が比較的発生し易いという報告もあり
それを予防するための措置として避妊手術を行う価値は十分にあると思います
手術しておけばよかったと思うこともあるかもしれません
しかしながらウサギの開腹手術はそれなりにハイリスクな処置になります
犬猫のように気管挿管(麻酔をかけるときに気管に管を挿入する)が困難なことと
ウサギの消化システムが非常にデリケートでその機能に問題を起こしてしまうと場合によっては致死的であること
消化管自体も非常にデリケートで簡単に傷が付いてしまう
以上のようなことから犬猫の避妊手術に比べるとどうしてもリスクが高くなってしまいます
ハムスター
子宮卵巣疾患のリスクは同様にあるがウサギ以上に麻酔の管理が厳しく
リスクはウサギよりはるかに高いのでお勧めしておりません
フェレット
避妊していないフェレットというのも殆どないと思います
というのもフェレットは排卵がおきるまで発情が続くという性質を持っており
そのため避妊をしないと持続発情により最終的にはホルモン過剰になり
再生不良性の貧血等の問題を起こし命にかかわってしまうので通常販売しているフェレットは子供のうちに避妊してしまっています
これが後々問題を起こすのではないかという説もありますが現状では避妊せずに飼うというのは非常に困難だと思います
初稿2004.10.4
改訂2005.3.5
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